新しくお墓を建てようと検討される方の多くは、全く初めての方が多いのではないでしょうか。
お墓は度々買い替えるものではありませんし、日々の暮らしの中で身近なものでもありません。
「うちの墓地は小さいので、お墓が入るか心配です」
「一般的な墓石は8号で良いのでしょうか?」
などのご質問いただくことがございます。
本項では、「墓石の寸法や規格」をテーマに基礎的なことを解説させていただきます。
墓地に行きますと、「〇〇家之墓」や「南無阿弥陀佛」などと彫刻された縦長のお墓が沢山建っています。
これらのお墓を総称して、一般には和型墓石と呼ばれています。
大阪型・京都型・神戸型(石材店により呼び方は異なります)など都道府県により微妙に形が違いますが、全て和型墓石になります。
墓石業界では、今も尺貫法を使っていますが、一番上の石(棹石と呼びます)の横幅の長さで墓石の規格を決めています。
例えば、横幅が8寸(約24センチ)の場合は、一般に「8寸墓石」または8号墓石と表記しています。(図は弊社の京都型8寸標準寸法:単位ミリ)
数字が大きいほど、墓石も大きくなります。
墓石は、棹石(さおいし)の横幅のみで規格されていますので、高さについての規格はありません。
図の墓石は、弊社の京都型8寸墓石の標準サイズです。(墓地サイズや希望により寸法の変更可能)
墓石の高さ寸法は、石材店により異なりますので、墓地に同じ8寸墓石が並んで建っていても、施工業者により高い低いが生じます。
墓石の契約をされる方は、すでに墓石が建っている横に墓石を建てる場合に、隣の墓石の高さが考慮されているか石材店に確認してください。
洋型の墓石は、和型墓石のような規格はあまり知られていません。
規格の表記をしている石材店では、和型墓石に習って一番上の幅広の石(棹石)の横幅を規格として表記しています。
横幅が2尺(約60センチ)の場合は、洋型20号などと表記されています。
最近では、真四角の洋型墓石は少なく、丸い形や、和型と洋型の中間的なデザインなど、各社がオリジナル性豊かな墓石をおススメしていますので、規格を表記する必要がないのが現状です。
霊園によっては巻石の寸法を規定している場合があります。
規程については、他家と同一寸法にしなければならない場合や、巻石の高さを〇〇センチ以下にしなければならないなど、霊園によって独自に定めています。
また、隣家との隙間を確保するために、巻石の間口と奥行の寸法は、実質的な墓地の寸法よりも小さめに規定されているところもあります。
関西エリアのお墓は構造上、巻石を高くしますと納骨室内に水がたまりにくくなるメリットがあります。
狭い墓地の場合は、高くするには限界がありますので、30センチ以下くらいまでの巻石の高さが一般的です。
広い墓地では、巻石の高さは霊園の規程の範囲で自由度が大きいですが、目安として30センチ以上の高さの巻石の場合は入口に階段を造らないと墓地の中に入りにくくなります。
墓石の真下には、納骨室を造ります。
一般に、4枚の御影石の角を合わせて、底のない箱状に組んだものを墓石の下に施工します。(コンクリート製もあります)
納骨室の上に墓石がのる構造ですので、墓石を支える役目もしています。
お客様の中には、沢山のお骨を埋葬できるようにと納骨室を大きく・深く造って欲しいという要望をいただくことがります。
墓石がのる構造の為に、間口や奥行を広げるには限界があり、深くしますと周囲の水が集りやすく、常に水が溜まってしまう感じになります。
納骨室のサイズは、長年の経験から得た寸法と理解していただければと思います。
高齢化に対応した納骨室
以前に比べて最近では、狭い墓地を希望される方が増えています。
また、高齢化によりバリヤフリーの観点から、高齢者が屈まずに立ったままお参りでき、車椅子の方も自然と手を伸ばしてお参りできる高さのお墓が普及しています。
この場合は、大きめの納骨室を地上に設置することで墓石の高さを調整できる出カロート(または丘カロート)と呼ばれる納骨室が採用されています。
出カロート、北九州や東北などの雪深い地域に多いと聞いたことがあります。
和型墓石を注文される場合は、貴家の墓地周辺に建っている墓石の大きさを参考にして下さい。
墓石サイズは石材店ごとに異なりますので、見積時に図面で確認されることをオススメいたします。
巻石のサイズは、墓地使用規程を確認してください。
洋型墓石・デザイン墓石を希望される場合は、墓地使用規程に適合するか確認してください。(特に寺院墓地ではご住職に確認してください)
最近は、高齢者に優しいお墓の形が求められていますので、柔軟な墓石選びを検討してください。
京都市南区西九条蔵王町11